広島高等裁判所岡山支部 昭和49年(ネ)26号 中間判決 1974年8月05日
控訴人
斎藤綿業株式会社
右代理人
川崎敏夫
外一名
被控訴人
株式会社永山
右代理人
横田勉
主文
本件控訴申立は適法である。
事実《省略》
理由
本件記録によると控訴代理人が原審における控訴人の訴訟代理人として原判決の送達を受けたのは、昭和四九年二月二一日であり本件控訴状が当裁判所に提出されたのは右送達の日から控訴提起期間と定められている二週間を経過した後である同年三月八日であることが認められ、不変期間の一日の不遵守があるといわねばならない。
然るところ、控訴代理人は右期間の不遵守は、その責に帰すべからざる事由に因るものである旨主張するので考えるに、確かに当時においても郵便の集配段階における手違、事故或いは又当該郵便物の発着地間の一時的交通杜絶等のために郵便物の延着を来す事例がなかつたとはいえないであろうが、そのような事例は極めて限られた例外的現象に止まり、今日の郵便事情に照らすときは、特段の事情(例えば通信機関のスト実施中等)のないかぎり、当時大阪、岡山両市間で三日間の余裕を見て発送した郵便物が右期間を超えて延着すべきことを予測することは困難といわなければならない。被控訴代理人のいうように当時郵便事情が悪化していたことが公知の事実であるということはできず、その他特段の事情についてはこれを認むべき証拠はない。
そうすると本件の期間不遵守は、当事者の予想しえない程度の郵便延着によるものであつて控訴代理人の責に責に帰すべからざる事由に因るものと言うべきであるから、本件控訴の追完はこれを許すべきである。従つて本件控訴の申立は適法であるから主文のとおり中間判決する。(渡辺忠之 山下進 篠森真之)